次の無限等比級数の収束、発散について調べ、収束する場合は、その和を求めよ。
(1) $1+\sqrt2+2+\cdots\cdots$
(2) $1-\dfrac23+\dfrac49-\cdots\cdots$
(3) $(2+\sqrt3)-(3+\sqrt3)+6-\cdots\cdots$
(4) $(1+\sqrt2)+\sqrt2+(2\sqrt2-2)+\cdots\cdots$

(1) $1+\sqrt2+2+\cdots$ $a=1,\ r=\sqrt2$
「$|r|\ge1$ であるから,この無限等比級数は発散する」
(2) $1-\dfrac23+\dfrac49-\cdots$ $a=1,\ r=-\dfrac23$
「$|r|<1$ であるから,この無限等比級数は収束する.その和 $S$ は」$S=\dfrac{1}{1-\left(-\frac23\right)}=\dfrac35$
(3) は p.48 に $(2+\sqrt3)-(3+\sqrt3)+6-$ と書き出しだけ.(4) はまだ.
ピンクの書きこみ:見出しの上に「無限数列って階差数列?」「なんで等比数列だけ収束?」「階差数列は?」,(1) の「この無限等比級数は発散する」に矢印で「これもまた自明?」
(1)(2) とも答えは合っている((2) の和 $\dfrac35$ も正しい).書き方の穴もない.
「無限数列って階差数列?」「なんで等比数列だけ収束?」「階差数列は?」「これもまた自明?」
無限数列と階差数列は別の話。収束するのは等比級数だけではなく、「$\dfrac{a}{1-r}$ という公式で和が一発で出る」のが等比級数だけ。$|r|\ge1$ で発散は教科書の定理なので使ってよい(自明ではなく、証明ずみの事実として使う)。
① 無限数列って階差数列?
ちがう。分け方の軸が別。
だから「無限数列 ⊃ 等差・等比・…」でもなく、「無限数列=階差数列」でもない。「無限かどうか」と「どんな並び方か」は独立。
② なんで等比数列だけ収束?
等比だけではない。ひとつ前の練習13 がそう。どちらも等比ではないけど
(1) $\displaystyle\sum\frac{1}{(2n-1)(2n+1)}$ は $S_n=\dfrac12\left(1-\dfrac1{2n+1}\right)\to\dfrac12$ で収束
(2) $\displaystyle\sum\frac{1}{\sqrt{2n+1}+\sqrt{2n-1}}$ は $S_n=\dfrac12(\sqrt{2n+1}-1)\to\infty$ で発散(ノートの上で添削したところ)
と、等比でなくても収束するものはある。
級数の収束・発散の決め方は、いつでも同じ1本だけ:部分和 $S_n$ を出して、$\displaystyle\lim_{n\to\infty}S_n$ を調べる。
等比級数が特別扱いされるのは、$S_n$ がいつでも
と書けて、$r^n$ の極限はもう知っている($|r|<1$ なら $0$)ので、極限が公式 $\dfrac{a}{1-r}$ にまとまってしまうから。
つまり「等比だけ収束する」ではなく「等比だけ、毎回 $S_n$ を出さずに公式で片づけてよい」。それ以外の級数は、練習13 のように自分で $S_n$ を作る。
③ 階差数列は?
階差数列は「収束する・しない」の仲間ではなく、和 $S_n$ を出す道具。
$b_n=a_{n+1}-a_n$ なら
と、まん中が全部消える。数Bで「階差数列から一般項 $a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k$」と習ったのは、この式を逆向きに使ったもの。
実は練習13 の (1) も (2) も、まさにこの「差の形にして消す」で $S_n$ を出している。各項を階差の形 $c_{k+1}-c_k$(または $c_k-c_{k+1}$)に書きかえられる級数は、$S_n$ が両はしだけ残るので極限が取れる。
まとめると、級数の $S_n$ を出す手は大きく2つ:
④ $|r|\ge1$ で発散は「これもまた自明?」
自明ではない。ただ、教科書 p.40 で定理として示されているので、答案では理由として書けばよい(書いたとおりで正しい)。中身は $S_n$ で確かめられる:
確かめ($r=\sqrt2$):$S_1=1,\ S_2=2.41\cdots,\ S_3=4.41\cdots,\ S_4=7.24\cdots$。どんどん大きくなる。
1つだけ気をつけること:この定理には「初項 $a\ne0$」がついている。$a=0$ なら公比が何でも全部の項が $0$ で、和 $0$ に収束する。だから答案では
「初項 $1\ne0$,公比 $\sqrt2$ で $|\sqrt2|\ge1$ であるから発散する」
と、初項が $0$ でないことと公比を書いておくと完全。ゆうやの答案は $a=1$ と書いてあるので読めば分かるけど、p.41 の問4・練習15 のように初項に文字 $x$ が入ると $x=0$ を別に扱う必要が出てくる。そこで効いてくる。