次の数列の収束、発散について調べ、極限があれば、その極限を求めよ。
(1) $\{\sqrt n(\sqrt{n+1}-\sqrt n)\}$
(2) $\left\{\dfrac{\sqrt{n+2}-\sqrt{n-1}}{\sqrt{n+1}-\sqrt n}\right\}$
(3) $\{4^n-3^n\}$
(4) $\left\{\dfrac{(-2)^{n+1}-3^n}{4^n}\right\}$




4問とも、問題の数列に $\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}$ を付けて無限級数として解いている(前のページの練習20 が級数だった)。
(1) $\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\sqrt n\sqrt{n+1}=\infty$、$\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\sqrt n\sqrt n=\sum_{n=1}^{\infty}n=\infty$
よって $\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\sqrt n(\sqrt{n+1}-\sqrt n)=\sum_{n=1}^{\infty}\sqrt n\sqrt{n+1}-\sum_{n=1}^{\infty}\sqrt n\sqrt n=\infty-\infty=0$ 収束する
ピンク:取消線、「なんでこれだめなの?」「解説の有理化って意味ないで 分母に√があった時に有理化してほしい」
(2) $\displaystyle\sum\dfrac{\sqrt{n+2}}{\sqrt{n+1}-\sqrt n}=\sum\dfrac{\sqrt{n+2}(\sqrt{n+1}+\sqrt n)}{(\sqrt{n+1}-\sqrt n)(\sqrt{n+1}+\sqrt n)}=\sum\sqrt{(n+2)(n+1)}+\sum\sqrt{(n+2)n}=\infty+\infty=\infty$
$\displaystyle\sum\dfrac{\sqrt{n-1}}{\sqrt{n+1}-\sqrt n}=\sum\sqrt{n^2-1}+\sum\sqrt{n(n-1)}=\infty+\infty=\infty$
したがって $\displaystyle\sum\dfrac{\sqrt{n+2}-\sqrt{n-1}}{\sqrt{n+1}-\sqrt n}=\sum\dfrac{\sqrt{n+2}}{\sqrt{n+1}-\sqrt n}-\sum\dfrac{\sqrt{n-1}}{\sqrt{n+1}-\sqrt n}=\infty-\infty=0$ 収束する
ピンク:取消線、「もしかして $\frac1n$ の形にして →0 にするためなの?」「→∞ になるならなに???」
(3) $\displaystyle\sum 4^n$ は初項4 公比4 の無限等比級数、$\displaystyle\sum 3^n$ は初項3 公比3 の無限等比級数。公比について $|4|\ge1$、$|3|\ge1$ より ともに発散する。よって $\displaystyle\sum(4^n-3^n)$ は発散する
ピンク:取消線、「なんでだめなの?」「発散したら今回は良いのか…」
(4) $\displaystyle\sum -2\left(-\frac12\right)^n$ は初項1 公比 $-\frac12$、$\displaystyle\sum\left(\frac34\right)^n$ は初項 $\frac34$ 公比 $\frac34$ の無限等比級数。$\left|-\frac12\right|<1$、$\left|\frac34\right|<1$ であるから収束して
$\displaystyle\sum\dfrac{(-2)^{n+1}}{4^n}=\dfrac{1}{1-(-\frac12)}=\dfrac23$、$\displaystyle\sum\left(\frac34\right)^n=\dfrac{\frac34}{1-\frac34}=3$
よって $\displaystyle\sum\dfrac{(-2)^{n+1}-3^n}{4^n}=\dfrac23-3=-\dfrac73$ に収束する
ピンク:取消線、「これはよくね? なんでだめなん」
(1)「なんでこれだめなの?」「解説の有理化って意味ないで 分母に√があった時に有理化してほしい」
(2)「もしかして 1/n の形にして →0 にするためなの? →∞ になるならなに???」
(3)「なんでだめなの? 発散したら今回は良いのか…」
(4)「これはよくね? なんでだめなん」
いちばん大きいのは4問とも共通で、問題は「数列」の極限なのに、$\sum$ を付けて「級数」(足し合わせたもの)の話にしていること。 $\{a_n\}$ の極限は「$n$ 番目の数そのものが $n\to\infty$ でどこへ行くか」、$\displaystyle\sum a_n$ は「$a_1+a_2+\cdots+a_n$ がどこへ行くか」。別の問いなので答えも別になる。
検算:(1) の数列は $n=100$ で $10(\sqrt{101}-10)=0.4987\cdots$、$n=10000$ で $0.49998\cdots$。数そのものは $\dfrac12$ に近づいていく。ところが級数にすると $0.49+0.49+0.49+\cdots$ をずっと足すので $\infty$ に発散する。ノートの「$0$ に収束」はどちらとも合わない。
そのうえで、ノートには「$\sum(a_n-b_n)=\sum a_n-\sum b_n$」と分けて、両方 $\infty$ だから $\infty-\infty$ と進めているところがある。分けてよいのは $\sum a_n$ と $\sum b_n$ が両方とも収束するときだけ(教科書の級数の性質もその条件つき)。だから (1)(2)(3) は級数として見ても分けた時点で止まる。(4) だけは両方収束するので分けてよく、級数の答えとしては正しい。
(1)「なんでこれだめなの?」$\infty-\infty$ は「決まらない形(不定形)」で、$0$ とは限らない。$\infty$ は数ではなく「いくらでも大きくなる」という様子なので、引き算の答えはどちらがどれだけ速く大きくなるかで決まる。
検算:$n\to\infty$ でどれも $\infty-\infty$ の形だが
と行き先がばらばら。(1) の $\sqrt n\sqrt{n+1}-n$ も $n=100$ で $100.4987\cdots-100=0.4987\cdots$ で、$0$ にはならない。
「解説の有理化って意味ないで 分母に√があった時に有理化してほしい」ここの有理化は分母をきれいにするためではなく、$\sqrt{A}-\sqrt{B}$ という $\infty-\infty$ の引き算を消すために使っている。$(\sqrt A-\sqrt B)(\sqrt A+\sqrt B)=A-B$ で、ルートの差が「ふつうの数の差」になる。(1) なら $(n+1)-n=1$ になって引き算が消える。
分母に $\sqrt{}$ ができるが、こんどは「足し算」なので怖くない。分子・分母を $\sqrt n$ で割って
分母の有理化と同じ式変形を、逆向き(分子のルートの差を分母に追い出す)に使っている、と思えばいい。
(2)「もしかして 1/n の形にして →0 にするためなの?」そう、半分あたり。手順は2段で、
1. 有理化で $\infty-\infty$(ルートの差)を消す
2. いちばん速く大きくなるもの(ここでは $\sqrt n$)で分子・分母を割って、残りを $\frac1n$ や定数だけにする。$\frac1n\to0$ が使えるので行き先が読める
(2) は分子と分母の両方にルートの差があるので、両方を有理化する。
検算:$n=100$ で $3.00007\cdots$、$n=10000$ で $3.0000000075\cdots$
「→∞ になるならなに???」有理化したあと $\infty$ に行くなら、それがそのまま答え(「正の無限大に発散する」)。有理化の目的は $0$ にすることではなく「決まらない形」をやめて行き先が読める形にすること。読めた行き先が $\infty$ ならそれでいい。ノートの行で $\infty$ が出てきたのは、分子の $\sqrt{n+2}$ と $\sqrt{n-1}$ を別々の式に分けてから片方ずつ有理化したから。1つずつだと確かに $\infty$ になるが、最後に $\infty-\infty$ に戻ってしまって何も決まらない。分子の引き算は分けずに「ひとかたまり」で有理化するのが大事。
(3)「なんでだめなの? 発散したら今回は良いのか…」「両方発散する → 差も発散する」は成り立たない。
検算:$a_n=n+\dfrac{1}{2^n}$、$b_n=n$ とすると $\sum a_n$ も $\sum b_n$ も $\infty$ に発散するのに、$\sum(a_n-b_n)=\sum\dfrac{1}{2^n}=1$ で収束する。数列でも $4^n+1$ と $4^n$ はどちらも $\infty$ に行くが、差は $1$。今回 $\sum(4^n-3^n)$ が発散するのは本当だけど、それはノートの理由からではなく、項 $4^n-3^n$ 自体が $\infty$ に行くから(「$a_n\to0$ でなければ級数は発散」)。結論がたまたま合っても、理由が成り立たないので点にならない。そして問題は数列 $\{4^n-3^n\}$ の極限なので、答えは「発散」だけでなく「正の無限大に発散する」まで言う。$\infty-\infty$ の形なので、大きいほうの $4^n$ でくくる。
$4^n\to\infty$、$\left(\frac34\right)^n\to0$ よりかっこの中は $1$ に近づく。よって $\infty$。検算:$n=10$ で $4^{10}-3^{10}=989527$。
(4)「これはよくね? なんでだめなん」級数 $\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{(-2)^{n+1}-3^n}{4^n}$ の和としては正しい。両方とも公比の絶対値が $1$ より小さいので分けてよく、$\dfrac23-3=-\dfrac73$ で合っている(検算:$n=1$〜$199$ まで足すと $-2.33333\cdots$)。でも問われているのは数列の極限で、答えは $0$。
検算:$n=10$ で $-0.058\cdots$、$n=100$ で $-3.2\times10^{-13}$。ついでにつながりも見ておくと、数列が $0$ に行くのは級数が収束するための「必要条件」。(4) は数列 $\to0$ で級数も収束、(1)(2)(3) は数列が $0$ に行かないので級数はどれも発散する。
まとめ