初項1、公比0.5の無限等比級数において、和 $S$ と、初項から第 $n$ 項までの部分和 $S_n$ の差が、初めて0.001より小さくなるような $n$ の値を求めよ。

初項1 公比0.5の無限等比級数
$|0.5|\le1$ より 和 $S$ は $S=\dfrac{1}{1-0.5}=2$
部分和 $S_n$ は $S_n=\dfrac{1-0.5^n}{1-0.5}=2\left(1-\dfrac1{2^n}\right)$
$S-S_n<0.001$
$2-2\left(1-\dfrac1{2^n}\right)<0.001$
$\dfrac1{2^{n-1}}<0.001$
$2^{n-1}>1000$
$n=10$ のとき $2^9=512<1000$
$n=11$ のとき $2^{10}=1024>1000$
よって求める $n$ は $11$
答えの $n=11$ は合っている。式の流れも合っている。ただ、記述では2か所削られる。
1. 収束の条件を $|0.5|\le1$ と書いている無限等比級数 $\sum ar^{n-1}$($a\ne0$)が収束するのは $|r|<1$ のときだけ。等号は入らない。
検算:$r=1$ だと $S_n=a+a+\cdots+a=na$ で、$a=1$ なら $S_n=n\to\infty$(発散)。$r=-1$ だと $S_n$ は $1,0,1,0,\cdots$ と行ったり来たりして収束しない。$|r|\le1$ を根拠に和の公式 $\dfrac{a}{1-r}$ を使うと、$r=1$ では分母が $0$ になる。「収束するから公式を使う」の「収束するから」の部分が誤った条件になっているので、和 $S=2$ の根拠の行が誤りとして扱われる。答えの値が同じでも、根拠の行のまちがいは減点の対象。同じ書き方が問題5($|\sqrt3-1|\le1$)・問題7($|r|\le1$)にもある。
2. 「初めて」を $n=10$ と $n=11$ の2つだけで言い切っている問われているのは「初めて $0.001$ より小さくなる $n$」= $2^{n-1}>1000$ を満たす最小の $n$。答案は $n=10$ ではだめ・$n=11$ ではよい、の2点しか確かめていない。これだけだと、たとえば $n=7$ で成り立っていない保証がない($n\le9$ を1つも見ていない)。つなぐのは「$2^{n-1}$ は $n$ が大きくなるほど大きくなる(単調に増える)」の一言。これがあれば
とまとめて言えて、最小が $11$ だと決まる。今回は答えが合うが、単調でない式(たとえば $(-2)^n$ がからむもの)で同じ書き方をすると、手前の $n$ で先に成り立つものを見落とす。
3.(小さいこと)$2-2\left(1-\frac1{2^n}\right)=\frac1{2^{n-1}}$ の間を飛ばしている$2\cdot\dfrac1{2^n}=\dfrac1{2^{n-1}}$ の1行があると、読む人が指数のずれ($\frac1{2^n}$ と書いて答えが1ずれる典型)を疑わずに済む。ここは減点まではされにくいが、入れておくと安全。
初項 $1$、公比 $\dfrac12$ の無限等比級数で、$\left|\dfrac12\right|<1$ であるから収束し、その和は
また
であるから
よって $S-S_n<0.001$ となる条件は
$2^{n-1}$ は $n$ について単調に増加し、$2^9=512<1000<1024=2^{10}$ であるから、$2^{n-1}>1000$ を満たす $n$ は $n-1\ge10$、すなわち $n\ge11$ である。
したがって、差が初めて $0.001$ より小さくなるのは
答 $n=11$